りん

Name: 巡礼者
Date: 2008/03/04(火) 20:26 No:317 お寺ネット仏事相談より

りんは内側からたたくのか?外側からたたくのか?

仏事相談の相談者
相談者

相談と言える程のことではありませんが、りんの鳴らし方に作法はあるのでしょうか?

りん棒で叩く時なのですが、りんの内側から叩くのか、外側から叩くのか、決まりごとのようなものはあるのでしょうか?

 

一般的には、外から打ちます。

仏事相談の回答者
回答者

手元りんの慣らし方の決まり事というよりも、宗派によって打ち方があるようです。

法要の際の僧侶の手元をよく見ているとわかります。

一般的には外側から叩いています。

こちらの打ち方のほうが読経中にりんを打ちやすいです。

私どもでは外打ちをご指導しています。

 

一僧侶様、ありがとうございます。

いつも何気に外側から叩いていましたが、ある禅宗のお坊様が、内から鳴らしていましたので、ふと考えてしまいました。

特にどちらからじゃないと良くないという事はないのですね。ありがとうございました。

りんは、遥か霊山の仏様の所に思いを届ける

仏事相談の回答者
回答者

りんは、鐘の小さいバージョンです。

余韻のある綺麗な音が響き、その余韻が遥か霊山の仏様の所に、思いが届くように願いを込めて丁寧に打つことが大切です。

りんは小さくて叩き難いので自分の打ち方でよいのです。

必ず数珠を手にして 灯明を照らし 香を薫いてから りんを打ちましょう。

仏様との対話ですので。合掌

 

ーわかりました。御丁寧に教えて下さりありがとうございました。

相談員からの豆知識

仏壇前の前机とりん
前机とりん

梵音具(ぼんおんぐ)といわれる仏具の事で、宗派や和尚さんによって

「鐘(かね)」とか「リン」とか「おりん」と呼ばれています

子供のころは「チーン」しておいでといわれ、「チーン」だと読んでいる方もあるようです。

仏壇には欠かせない、前机に置かれた「りん」ですが、

いつ?鳴らせばいいのか?

何回?鳴らせばいいのか?

鳴らす意味は?何なのか?

そして、今回のように、外から叩けばいいのか?内側から叩けばいいのか?

単純で素朴な疑問にお答えします。

そもそも、なぜ?りんを鳴らすようになったのか?

上記回答にもありましたが、りんは、大きな鐘を縮小したものです。

お寺に行くと大きな鐘がございますね。よく除夜の鐘で突くものです。

除夜の鐘を突くのは何の為でしょうか?

鐘を突くことで、108の煩悩を消していくと言われますね。

もっとも、今のように腕時計や携帯電話御持たない時代、時計すらなかった2000年以上前の話です

太陽の方角によって時間が考えられていました。その時を知らせる方法としての「鐘」でありました。

僧侶や村人に時を知らせるために、鐘をつき、朝の始まり、夕方の終わりを伝えていました。

仏事が、先祖供養に代わっていく中で、祖先が遠く遥か先祖のいる場所に、子孫が来ましたよ!

今から、お経を唱え、ご供養しますよ!という「法要」を知らせる鐘であったと存じます

読経の始まりと終了の合図や、お経の内容がかわる合図に鐘が叩かれます。

読経の始まりと終わりの合図の他に、読経の途中でリズムを整えることにも使われます。

お坊さんが読む「経本」には、ここで鐘をたたく 2回たたく など記されている場合があります

「二丁」と書かれている場合は、2回の鐘を打つ印です

また、●印の記号の場合もあります

録音機能などがない時代、お経を大勢の方が読み上げ、全国に広まっていくわけですから、みんなが揃って唱えられるように、合図としての意味がありました

平家物語にも鐘が出てきます

源平の合戦
源平の合戦

「平家物語」

“祇園精舎の鐘の聲、諸行無常の響あり。沙羅雙樹の花の色、盛者必衰の理をあらはす。”

にも「鐘」が出てきますね。

「諸行無常(しょぎょうむじょう)」も「盛者必衰(じょうしゃひっすい)」も仏教の言葉で、

「諸行無常」とはこの世のすべてのことは常がなく、続かないこといいます。

「盛者必衰」はどんな者も必ず衰えることをいいますね。

これは仏教の真理であり、世の常の出来事であることをさしています。そして

沙羅双樹とはお釈迦さまがお亡くなるとき、沙羅の樹が臥床の四方に二本あったことから、佛の悟りを開かれたお釈迦さまでも亡くなるときがくるという「盛者必衰」を表しています。

祇園精舎(ぎおんしょうじゃ)の「精舎」とは寺のことですから、今日の言葉で言えば「祇園寺」や「祇園院」と言えばいいでしょうか、そのお寺でお釈迦様がご説法をなされた寺のことです。

この「祇園精舎」の一角に無常堂(無常院)があり、祇園精舎で終末期を迎えた僧たちが、最後のひとときを過ごす場所であり病院的なところでありました。

臨終を迎えると、建物の四隅に配されていた鐘が鳴ります。

鐘の音は、命が一つ消えたことを示している世の無常を感じさせます

天台宗の伝教大師最澄も臨終の時には、鐘の音が鳴らされたとされています。

鐘の音は、人の命が消えていき、そして浄土に旅立って行くために、チーーーーンと長く余韻が残る鐘の音が、あたかも遠い先祖に届くように感じて来るのではないでしょうか?

仏壇は、お寺の縮小版

話がそれたついでに、仏壇についてもお話ししておきます

仏壇に祈る
仏壇に祈る

我が家に仏壇がないという家庭が多くなってきました。

「我が家には死人が出ていないから仏壇は必要ない」という方もあります。

それは大きな間違いです。仏壇は、お寺の縮小版であり、お寺にお参りに行く代りに、自宅でお参りするもです。

市役所でいうと、いわば出張所のようなものです。

自宅で本尊(仏像)に祈り、感謝する場所であり、先祖の位牌は、そばに置かせていただいているものです。

ですから、先祖の為の仏壇ではなく、仏壇のそばにちょこっと先祖を置かせていただいているのです。

鐘の鳴らし方について

ご家庭の仏壇の鐘の良い音がする鳴らし方は、リン棒の持ち手を上にして持ち、あまり力を入れず、鐘の口の縁の部分より少し下の部分を叩きます。

りんの鳴らし方
りんの鳴らし方

りん棒は、上から持っても下から持ってもどちらでも構いません。

仏壇の高い棚にある場合は、下から持ち、下から上にあげるように打つのがコツです。

残響が長く、透き通った綺麗な音が鳴り響いてきます。

また、胸よりも下にりんがある場合は、上からりん棒を持ち、振り子のようにして鳴らします

この時も、振りぬくような優しい叩き方をすると、きれいな音が響いていきます。

鐘の外側から叩くのがおすすめです。それが、普通の叩き方です。

中には、内側をたたく僧侶の方もおられます。

実は、この方が、鐘の音はこだまして広がっていきます。一度叩き比べてみて下さい。

音の波動が、均等に広がり、ふわっとした感じに包まれます。

しかしながら、叩き方が悪いと、何だかぎこちない音になるので注意が必要です。

りんを鳴らす回数について

冒頭お話ししましたように、僧侶が法要を行う場合、宗派によって叩く回数が決められている場合があります。

もちろん、宗派によって意味があって回数が決められています。

例えば、3回鳴らすのは、「仏・法・僧」の三宝の為だとか、6回鳴らすのは、六道輪廻の解脱だとか・・・

私の教わった師匠は、法要の始まりは、2回 途中お経の変わり目で1回 最後法要の終わりで3回と教えられました(天台宗系単立)

この事で、法要に参加していない方々にも「お経が始まったな。」「まだお経が続くな。」「そろそろ法要が終わりだな」

という事がわかるため、法要後にお茶を出したり準備が出来ます。

りんを鳴らすのも意味をもって打ちましょう

りんの回数にこだわるあまり、心が散漫になっては、残念ですね。

1回でも2回でも3回でも良いでしょう。

気のすむまで鳴らされても、仏様は怒ったりしません(近所の方は別ですが。笑)

もし、ご先祖の供養をされるのであれば、1回目は、御仏のために心を届ける 2回目は、ご先祖のために心を届ける

1回目は

「仏様、私は、今から仏法にふれる機会をいただきました。こうして、仏様の教えを聞き、教えを守り、仏道を歩んでまいります」

2回目は

「こうして生かされているのは、ご先祖様のおかげです。ご先祖のご恩を忘れず、感謝して人生を歩んでまいります」

という思いで、2回たたかれて、「合掌・祈念」出来れば読経されるのが良いと存じます。

そして、お経が変わるとき、1回のりんをたたきましょう。次のお経に参りますと新たな心で挑みましょう。

最後に、仏・法・僧の三宝に帰依し、仏道精進を誓い、3回のりんをたたきます。

※なを、法事などでたくさんの参列者がいる場合について

その場合は、すべての気持ちを一つにして1回のりんをたたくのが良いでしょう。